利用者の視点を大事にしよう:品質モデル(JIS X 25010:2013)を改めて読んでみた
QA業界では有名な、品質モデルに関する規格である JIS X 25010:2013(ISO/IEC 25010:2011 )を読んでみた。
JIS X 25010:2013 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−システム及びソフトウェア品質モデル
以下、特に印象に残った点を挙げてみる。
印象に残ったところ(抜粋)
- この規格は、「利用時の品質モデル」と「製品品質モデル」を規格している。
- 「利用時の品質モデル」はシステムと人間の対話に関すること。5つの特性をもつ。
「製品品質モデル」はシステムの特徴に関すること。8つの特性をもつ。
システムの全ての部分に対して、全ての副特性の仕様化または測定は事実上不可能である。品質特性の相対的な重要性は、プロジェクトに対する目標及び目的に依存する。そのため、プロジェクトごとにモデルを修正することが望ましい。
システムの利用者は3種類。
- 一時利用者:システムと対話をする人。
- 二次利用者:支援を提供する人。主に「コンテンツプロバイダ」と「保守者」の二種類。
- 間接利用者:システムを利用しないが、出力を受け取る人。
機能適合性、性能効率性、使用性、信頼性、セキュリティは、一時利用者の品質に大きな影響がある。 * 互換性、保守性、移植性は、二次利用者の品質に大きな影響がある。
ソフトウェアの特徴には、「固有の特徴」と「割り当てられた特徴」がある。
- 固有の特徴は、「機能面の特徴」と「品質面の特徴」がある。
- 機能面の特徴は、ソフトウェアが何をすることができるかを決定する
- 品質面の特徴は、どれだけうまくソフトウェアが動作するかを決定する
- 割り当てられた特徴の例は、価格、納入日など
- 固有の特徴は、「機能面の特徴」と「品質面の特徴」がある。
- 機能適合性は、機能仕様にではなく、機能が明示的ニーズ及び暗黙的ニーズを満足させるかどうかにだけ関係している
所感
「全ての副特性の仕様化または測定は事実上不可能」なので「モデルを修正」して利用すべき、と書かれていることに驚いた。どこを重点的に確認すべきかは、製品の利用者のニーズによるということが分かった。
機能適合性は、機能仕様との合致性には関係しないことを初めて知った。この規格はあくまで利用者の視点を大事にすべき、という立場を貫いているんだな、と思った。